百歳になっても脳は成長し続ける

前回のブログで「キャリアってどんな意味?」の最後に、「キャリアを広義の意味で捉え実現していくためには、人は生きている限り年齢や経験に応じて学び続けていくべきだと考えています。」と締めくくったところで、以前に読んだ本のことを思い出しました。

 

TVでもおなじみの脳科学茂木健一郎さんが書いた「感動する脳」の中に「百歳になっても脳は成長し続ける」という一節がありました。非常に興味深い内容だったので、ここで紹介させていただきます。少し長文になりますが最後までお付き合いください。

 

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人はそれぞれが遺伝子(DNA)を持って生まれてきます。DNAというのはまさに人間の設計図のようなものであり、それに沿ったかたちで人は成長していくわけです。そこで多くの人は勘違いをしています。設計図には完成品が描かれているのだと。

自分には自分のDNAがすでにあるのだから、それに逆らっても仕方がない。いくらあがいたところで自分のDNAは変えられるものではないと。そんなふうに思い込んでいませんか。もしそう考えているとしたら、それは大きな間違いです。DNAには、完成品など書き込まれていません。

 

 実際に人間の脳というのは、生きている限り自発的に活動し続けます。そしてそれに伴って、神経細胞の結びつきというものも変化している。中高年になってから活動しなくなるというのは間違いです。よく「もう歳だから、若い頃のように頭が働かないよ」とか「脳細胞がどんどん消滅していくのだから、今から新しいことを始めるのはムリだよ」と言う人がいるでしょう。それは単に自分が努力をしていないだけ。生きる意欲がなくなってきているだけなのです。

 

我々は専門用語で「オープン・エンド」(open-ended)と言いますが、脳はいつまで経っても完成を迎えることのない、まさに青天井の構造をしているのです。なのに自分は天井を勝手に決めてしまうのは勿体ないことです。

 

 人間の寿命はせいぜい百年くらいのものです。どんな頑強な人間でも、百年もすれば死んでしまいます。ならば百歳で死を迎える時に脳は完成してるのかと言うと、実はまだまだ発展途上に過ぎない。もしも人間が二百年も三百年も生きられたとしたなら、脳は三百年間も変化し続けることになります。

 

 つまり人生というのは、実は永遠に完成することのない、終着点のない旅だとも言えるでしょう。生きている限りにおいて、脳は何百年間でも変化し続けている。従って人間の脳というのは、非常に残念なことに、どこまで行けるかというその限界を見ないうちに寿命を迎えてしまう運命にあるのです。

 

―――中略―――

 

 六十歳になり定年を迎えた人たちの多くは、「もう後は静かに送るだけだ」「この年からは何も新しいことは始められない」と考えています。ちょっと待ってください。あなたは定年になったかもしれませんが、あなたの脳は定年などなっていません。第一、脳に余生などという言葉はない。生きている限り変化しているのですから、脳は余生を楽しんでいる暇などないのです。
 
もしもあなたが年を取ったからと家に引きもこっていたなら、脳を使うことなく無為な日々を送っていたとしたなら、それはとんでもなく勿体ないことなのです。せっかくの限界のない脳を与えられているのですから、大いに働かせないと損だと思いませんか。

 

 年老いたから脳が働かないなどというのはウソです。年をとったからこそ活動を始める部分も必ずあります。死を迎える直前まで脳を目一杯使ってみる。何と幸福なことだろうと私は思うのです。

 

引用:「感動する脳」茂木健一郎
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どうですか?
人間の脳ってすごいですね。
歳を重ねても、常に前向きでありたい、キャリアアップしていきたいと改めて思った次第です。